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「へえ、8月7日はバナナの日だって」
打ち掛けの時、和.谷が携帯で記念日アプリを眺めながら言った。
「なんかエロいよなあ、おい」
「でもバナナの記念日って何すりゃいいんだ?」
「みんなでバナナの見せ合いでもするとか?」
「おう、いいじゃんバナナ記念日!」
帰ったらみんなで勝負するかと、元々がバカだし、騒ぎながら戻ったら、こっちはいつも昼メシは食わない派の塔.矢が自販機横で休んでいるのと鉢合わせてしまった。
「楽しそうだね、何?」
「おう、実は今日はバナナ―」
バナナの日なんだってよと振り返ったそこで、おれは初めて尋ねて来た相手が塔.矢であることに気がついたのだった。
「バナナが何?」
「いや、だからさ、これからみんなでバナナ比べしようって―」
言いかけた和.谷を慌てて殴る。
「なっ、なんでも無い。とにかくなんでも無いからっ」
「でも途中まで言ったじゃないか。バナナがどうかした?」
無邪気な顔で見詰められて汗をかく。
どうしよう。絶対言えない。これからそこのトイレでみんなで見せ合いっこしようとしていたなんて!
「だから、えーと、バナナを…」
「バナナを?」
「しょっ、食後のデザートに、これからみんなでバナナを食おうかなって」
「へえ、健康に良いらしいしね」
だったらぼくも混ぜてもらおうかなと、ほんの一欠片の疑いも無く笑われて、おれは皆の物言いたげな視線の集中砲火を浴びながら、半泣きでバナナを買いに走ったのだった。
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